お米の保管方法を間違えると、どこからともなく発生する虫がいます。主に穀象虫(コクゾウムシ)とメイガ(ノシメマダラメイガ)です。これらの虫は、20℃以上で発生し、23℃以上になると活動・繁殖を始めます。しかし、15℃以下ではほとんど活動しません。ですのでお米の保管場所や温度は重要な要素になります。
害虫全般にいえることですが、虫は、気温が20℃を超えると発生しはじめ、23℃を超えると動きが活発になってきます。気温・湿度が上がってくるとお米も傷みやすくなり、匂いを発生しはじめます。人間には感じなくても害虫は、匂いにつられてやってきます。気温・湿度が高くなり始める時期には、特にお米の管理に気をつけましょう。お米に付く虫は、玄米と白米で条件を同じにすると、増殖しやすいのは「玄米」です。お米の害虫の多くは、玄米の糠の部分を好みます。それは、糠の部分のほうが、栄養成分が比較的多いからです。ただし、コクゾウムシのように白米部分を好み繁殖する虫もいますので一概にはいえません。 ぶづき米のように糠の成分が多いお米の場合は特に気をつけるといいです。
一概に虫が全て悪いわけではなく、コクゾウムシやノシメマダラメイガが発生するお米は、殺虫剤などの残留物が存在しない証明にもなるので健全であり、人体に悪い影響を与えることはありません。ですが気分が良いものではないので発生しないようにするに越した事はありませんね。
コクゾウムシとは
黒く体長2.1~3.5㎜、象のように長く伸びた口吻(こうふん)が特徴で、気温が20℃以上になると活発に繁殖します。穀象虫は、なんと米粒に穴を開け、中に卵を生みつけます。数日で孵化して幼虫は、お米の中を少しづつ食べながら大きくなります。やがて成虫となり、卵の殻を破って生まれてくるヒヨコのように、米粒の中から出てきます。そして、お米を食い散らし、また卵を生みます。「米食い虫」の異名があります。
※ 産卵から成虫の出現まで約1ヶ月間かかり、お米の中に卵を産みます。(活動時期:4月~10月) コクゾウムシは低温に弱く、15℃以下では発育、増殖ができません。また、マイナス20℃の温度で7~10日おけば、成虫も幼虫も卵も死んでしまいます。お米を冷凍するとコクゾウムシは死にますが、食べる時はコクゾウムシ成虫を分けないといけないですし、米粒の中の卵やふ化した幼虫までは分別できません。 人によっては虫を食べることでアレルギーを起こすこともあるようですから、コクゾウムシなど貯穀害虫が発生したお米は食べないことをお勧めします。もし、食べてしまっても害はありません。
シメマダラメイガ
ノシメマダラメイガとは 私たちの身の回りどこにでもいて、常に穀類や粉を探して飛び回っている体長7~8㎜の小さな蛾です。成虫が、お米のヌカ層や胚芽部に卵を生みます。生まれた幼虫は、黄白色に近い色をして、小さいイモ虫の形態をしています。ヌカなどを好んで食べて成長し、やがて白い糸を出し蛹(さなぎ)になります。このときの白い糸がお米の粒をくっつけてしまいます。やがて羽化して蛾となって飛んでいきます。夜になるとそこらじゅうで飛び回ります。ヌカや小麦粉などの穀粉の匂いを嗅ぎつけて、卵を生みに来ます。
購入時のお米の袋など食い破って中に入り込んでしまうこともあります。幼虫は、穀類や粉を食べながら数週間から1カ月半で成虫になり、また、産卵することを繰り返します。購入した袋のままでの保管がいけない理由が、ここにあります。必ず密閉できる容器に入れ、定期的にヌカ等を掃除することが肝心です。 この虫は、油脂分の含まれた食品を好むので、クッキー、チョコレートなどの各種菓子類やインスタント ラーメン、七味唐辛子など、家庭で保存されることの多い食品でも発生するので、近年は家庭害虫としても要注意種となっています。知らないうちに、それらを餌に屋内で増え、その後お米の保存容器に移動してくるケースも十分考えられます。発生源となるこれらの食品もしっかり密封し、屑にも気をつけ、屋内及び米保管容器の清潔を保つことが必要です。また、この虫の幼虫はビニールくらい簡単に食い破る能力があるので、ビニールに密封しただけでは完璧とはいえません。
※メイガは、お米の外側、周りに卵を産みます。(活動時期:4月~10月)